CRYENGINEの現状と今後

CRYENGINEの現在の状況のまとめ
2022年04月15日 時点
過去の情報は「CRYENGINEの歴史」を見てください。

情報源は、主にCRYENGINEのロードマップ、公式サイト、ForumでのCrytekスタッフの回答などです。

目次

CRYENGINE全般

現在CRYENGINE V はLTS(Long Term Support)に移行しています。今後、CRYENGINE Vには機能追加はありません。現在、Crytekは次世代のCRYENGINEを開発です。

2019年8月29日にリリースされた5.6から、2年以上もエンジンの更新がないためCRYENGINEは現在、競合に比べて大きく遅れを取っており、時代遅れの状態です。メジャーバージョンのパブリックリリースの見通しは立っていません。

言語は英語

CRYENGINEのロードマップ
https://www.cryengine.com/roadmap
5.6は2019年8月29日にリリースされ、日本時間 2022年04月06日にCRYENGINE V 最後となるバージョンCRYENGINE 5.7 LTSがリリースされました。

当初、5.7が2020年の春に発表の予定でしたがCOVID-19のため発表は無くなり、2020年はメジャーリリースの予定は無しになりました。(当時、欧州はCOVID-19のパンデミックでロックダウン中だった)

Crytekは2020年、2021年はCRYENGINEに関する情報をほとんど発信していませんでしたが、これはCOVID-19による混乱と次世代のCRYENGINEを作ることに集中していたためと当初発表されました。

Crytekは、中規模の企業でありテクノロジー企業であると同時に、ゲーム開発スタジオでもあります。そのため、ユーザーの少ないCRYENGINEの開発計画を先に進めるよりも、Crytekの代表的なIPである『Crysis』フランチャイズや最新IP「Hunt: Showdown」への投資、ゲーム開発のサポートを優先するという決断をしたと後に発表がありました。結果CRYENGINEは2年間の間、最新バージョンが公開されませんでした。

公開されていないだけで、Crytek内部では5.7相当のCRYENGINEは出来ているようです。「Crysis Remastered」は5.7です。多分

CRYENGINEとゲーム開発チームの両方をサポートするために、今後数年間でスタジオの人員を大幅に増加させる計画を持っているそうです。しかし、最初に、目標を達成するためには、エンジンのアーキテクチャと社内の構造を変更する必要があると判断しているそうです。

CRYENGINE Vのライフサイクルを締めくくるリリースが2021年に1つ予定されていましたが、CRYENGINE 5.7は、「COVID-19により働き方が変わり、開発の優先順位を調整しなければならなかったため、設定した開発目標を達成することができませんでした」と発表があり無しになりました。

CRYENGINE 5.7 Roadmap Update and Future Plansから製品責任者であるArto Ruotsalainenの説明の意訳

設定された野心的な目標の実現に集中するために計画を変更する必要があり、これはCRYENGINEの次のメジャーバージョンのパブリックリリースが遅れることを意味します。

最終的には、ゲーム制作チームで行ったエンジンの進歩を統合し、すべてのライセンシーとコミュニティのためにCRYENGINEを再構築、革新、強化するため時間が必要です。遅延は、多くの人が聞きたいことではないことを私たちは知っています。

しかし、すべての人の長期的な利益のために、私たちはそれが正しいものであると信じています。また、次のパブリックリリースのタイムラインがないからといって、現在のCRYENGINEライセンシーやアクティブなコミュニティメンバーとの協力を継続しないということではありませんのでご安心ください。メジャーバージョンのパブリックリリースの見通しが立たないままどのように作業を継続するかについては、現在計画を策定中ですので、来年中のアップデートにご期待ください。

その後、2022年に次世代のCRYENGINEリリース。

https://www.cryengine.com/news/view/cryengine-5-7-roadmap-update-and-future-plans

https://www.cryengine.com/news/view/cryengine-staff-spotlight-meet-the-team-arto-ruotsalainen

2020年は5.6のホットフィックスを暫定的に提供し、2022年に5.7をリリースしLTS(Long Term Support)に移行しました。

5.4までは使用料は無しでしたが 5.5以降(Ver5.0~5.4も含め)年間の総収入USD 5,000以上のプロジェクトごとに5%の使用料が発生することになりました。

CRYENGINE Vマニュアルは、まだ未完成。分からないことはforumで聞く。

サンプルプロジェクトのGameSDKはCrysis2のアセット、システムが元になっているので古い。

ロードマップを見ると5.7で大きな進化、改善がされる予定。だったが、2021年のメジャーリリースに期待。

CRYENGINEの今後の大まかなビジョン

モバイルプラットフォームのサポート

Android

iOSも準備中。初期プロトタイプはすでにある。ただし、CRYENGINEツールキット全体をAppleの環境(macOS)に導入するのは困難な作業でまだ先。

レイトレーシング

GPUに依存しないソフトウェアベースのレイトレーシングに加えて、RTコアなどの専用のレイトレーシングハードウェアの使用も可能。CRYENGINE Vでは、Crytek社外向けには追加されませんでした。

新規ビジュアルスクリプティング

Schematycが正式リリース

その他

地形ペイントツールにdisplacement brushesが追加

プログラミング

現状

使用言語

  • C#
  • C ++
  • Lua (非推奨。廃止予定)
  • Flow Graph (ビジュアルスクリプティング)
  • Schematyc(ビジュアルスクリプティング)

Schematycはもともと『Hunt Showdown』のために作られた。

GitHubでCRYENGINEのソースコードが公開されている。

https://github.com/CRYTEK/CRYENGINE

ビルドシステムは5.3以降CMakeが使われている。以前はWAFが使われていた。

githubに有用なプラグインがあります。

https://github.com/search?q=CryEngine

今後

Luaは非推奨。削除される予定。Luaの代替はSchematyc

SchematycはFlow Graphの代替になり得る。しかし、Schematycは、まだ多くの改善が必要で、しばらく時間がかかるのでFlow Graphは、当面削除されない予定。

次のメジャーリリースでビジュアルスクリプティングの統合が実施される。Flow GraphがSchematycに統合されるのだと思う。

 

プラグインとツール

GameSDK

多くの非推奨システムが使用されいる現在のGameSDKは今後削除される予定

GameSDKでは、5.6になってもまだLuaが使われている。

5.6のリリースノートに「New: Updated Lua scripts in GameSDK to use new (refactored) signal system.」て書いてあった。

多くの古いシステムが含まれているため評判が悪い。

PluginSystem Beta版

プラグインシステム。C ++やC#でプラグインを作成。
エンジンの多くの部分をプラグイン形式のオプションにする意図がある。これによりプロジェクトで必要とされないシステムを削除して、パフォーマンスを向上させるなどのメリットがある。
https://docs.cryengine.com/display/CEMANUAL/Plugin+System

Asset

AssetはPAKファイルでまとめる。PAKファイルの実態はzipファイルでPAKファイルの暗号化は可能

UI

公式のUIの作成は外部ソフトが必要。ActionScript 2をコンパイルするためにAdobe Flash CS6以前のバージョンが必要。

次のメジャーリリースでScaleform 4に更新予定。Adobe AnimateとActionScript 3の両方を使用できるようになります。

現在、特にUI作成の仕様は古く、古い外部ソフトが必要なため、UIの作成は困難。

C#でUIを作成することも出来るが簡易的なものしか作れない。

公式のUIの作成方法では作成が困難なので、クロスプラットフォームのUIエディター、UIフレームワーク「FairyGUI」を使用してください。

UIの制御はFlow Graph。今後SchematycでもUIの制御が出来る予定らしい。

FlashDevelop」を使えば良いのかな…

3Dモデル

  • 3dsMax
  • Maya
  • Blender

サポートされているファイル形式

  • .fbx
  • .dxf
  • .dae
  • .obj
  • .3ds

推奨ファイル形式

  • .fbx

BlendeはアドオンのBCRYExporterを利用する。

Material

PBRの種類は「Specular GlossinessUnityのStandard (Specular setup) に相当。
UE4は「Metalness Reflection」UnityはSpecular、Metalness どちらも使える。

Texture

  • Photoshop
  • GIMP
  • Substance Designer
  • Substance Painter

TextureはDDS形式。ただしCRYENGINE専用の設定がDDSファイルに少し書き込まれている。オリジナルはTIFかPSD形式で保存。ファイルをRC.exeでDDS形式に変換する。

Photoshopの拡張機能あり。

Substance Designerのファイル形式sbsarは他のエンジンのようにallegorithmic提供のプラグインでは無く独自実装のExporterが最初から付属していて、そのまま使えて簡単にDDS形式に出来る。

システム

AI

AIシステムは現在3つある

Tactical Point System (TPS)は5.6で非推奨の予定で5.7で廃止の予定。
Universal Query System (UQS) はTPSの後継。
Behavior Tree Editorは、『HUNT:Showdown』制作チームによって開発されたAIシステム。

TPSはCrysisから使われている古いAIシステムでGameSDKのみに付属。

UQSはTPSの後継AIシステムでBeta版。AIシステムのTPS、UQSを使いたい場合はGameSDKをプロジェクトに追加する必要がある。

今後、古いAIシステムのTPSは廃止され新しいAIシステムのUQSに移行する。
https://docs.cryengine.com/pages/viewpage.action?pageId=26217637

「Behavior Tree Editor」は、『HUNT:Showdown』制作チームによって開発され使われているAIシステム。単純な『Grunts』や『Hellhounds』から、より複雑な『Spider』、『Butcher』のようなボスの行動まで、リアルな敵の行動を作り出すのに役立っているそうです。

アニメーション

Character Toolでキャラクターの定義を作成し、アニメーションとSkeletonの登録をする。
Mannequin Editorでアニメーションを定義、調整、管理をする。

5.6でSkeleton List が廃止された。

Crytekは現状のアニメーションツールは古くなっている事を把握している。

次のメジャーリリースで新規のアニメーションツールが提供される。

CRYENGINE Developer Interview: The future of animation + Roadmap Update

オーディオ

以下のオーディオミドルウェアをサポートしており選べる。

今後

PCMストリーミングの実装
マルチリスナーのサポート
SDL MixerのOPUS形式のサポート
MilesSoundSystemのサポート

CRYENGINEのオーディオソフトウェアエンジニアのインタビュー

物理エンジン

CRYENGINE独自の物理エンジン「CryPhysics」に加えて「NVIDIA PhysX」が使用可能 Beta版
https://docs.cryengine.com/display/CEMANUAL/Using+NVIDIA+PhysX+in+CRYENGINE

グラフィックスとレンダリング

グラフィックスAPI
DX11
DX12
Vulkan (Beta版)

“GI without voxels” mode
CRYENGINE 5.2で導入された実験的なモード

リアルタイム・レイトレーシング
リアルタイム・レイトレーシングは当初2019年中に実装予定だったが2021年初頭に予定しているメジャーリリースで利用可能の予定になった。CRYENGINEのレイトレ機能はAPIとハードウェアにとらわれず実行できる予定。

レイトレーシングのデモとして「Neon Noir Ray Tracing Benchmark」が提供されている。

今後、動的解像度スケーリング、HDR出力などを予定。

その他

 

今後

Androidのサポート
Razer Chroma RGBのサポート

SandboxEditor

CRYENGINEのEditorのことをSandboxEditorと呼ぶ。

CRYENGINEのビルドはCMakeで行う。

改善してほしい点

SandboxEditorのクラッシュ
頻繁にクラッシュする。初心者でも簡単にクラッシュさせることが出来る。
改善の予定あり

新機能が大体Beta版
ずっとBeta版の気がしてきた。CRYENGINE V自体がBeta版の気がしてきた。5.7で完成したらいいな。

UIの作成
最も改善してほしい部分。
改善する気が無いのかもしれない。

UI関連の開発者を募集していたので、改善する気はあるみたい。

アニメーションシステム
5.7でリニューアル予定。新しくなるの?

AIシステム
GameSDKを使いたくない。

CRYENGINE V

全体的に不安定。クラッシュ、なぜか動かないは、当たり前。だったが、2020年は5.6のホットフィックスを暫定的に提供したため、5.6に関しては安定してきている。

CRYENGINEの今後の推測

次のメジャーリリースで次世代ハードウェアとモバイルをサポートの予定。

 

 

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